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在庫管理のやり方は今のままでいい?在庫管理の見直しについて徹底解説

グローバル化やサプライチェーンの多様化が進むなか、新しい手法で市場競争を勝ち抜いていかなくてはならない時代になりました。企業の業績に影響する在庫管理においても、より戦略的に適切な在庫量を調整する必要性が高まっています。適切な在庫計画を立てるためには、在庫管理システムをベースとした資材や製品の入出庫の把握と処理が必須です。商品の重要度に応じた発注や、適切な発注量の見極めも要求されます。そこで、在庫管理とは何かについての概要、在庫管理の手順をおさらいし、現状のやり方が抱える課題、またその課題を解決する方法について考えていきます。

在庫管理とは

在庫管理とは、企業が保有する製品、商品、原材料を管理することを指します。具体的には以下のような業務を行います。

  • 原材料や商品、製品の入出庫時の、数量と品目確認
  • 検品および、不良品や返却品の処理
  • 在庫保管場所の管理
  • 棚卸し
  • 在庫の残量に応じた発注数量と品目の決定
  • 在庫の分析と、売れ行き状況のデータ化

在庫管理についてさらに詳しい内容は、下記の記事もご参照ください。
在庫管理とは?在庫管理を行う目的やメリット、在庫管理方法などを解説

在庫管理における発注方式

在庫の残量に応じて発注のタイミングと数量を見極める作業は、特に重要なプロセスになります。

発注方式は、数ある発注方式のうち主な二つである「定量発注方式」と「定期発注方式」があります。それぞれのやり方と、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

定量発注方式

定量発注方式とは、在庫があらかじめ設定された数量以下に達したタイミングで、あらかじめ決められた一定数量を発注する方式です。発注する数量は毎回同じですが、発注頻度は在庫が減るスピードにより変わります。
発注量を都度決めなくてよいのがメリットですが、需要の変動により、発注が追いつかなくなる、もしくは在庫過剰になる場合があるため注意が必要です。

定期発注方式

定期発注方式とは、毎週、毎月、3ヶ月ごとなど、あらかじめ設定された時期に発注する方式です。決められた日に在庫を確認して、必要な数量を発注します。
在庫確認と発注の頻度が一定となるため、発注業務のスケジュール化ができ、需要に応じて数量を変えられるのがメリットです。一方で、発注が近づいた一定の時期しか在庫を確認しないため、需要が急増した場合に即座に対応できず品切れになるリスクがあります。
なお、上記のほかに、以下のような発注方式があります。

  • 簡易発注方式(ダブルビン方式と補充方式)
  • 不定量不定期発注方式
  • 同期化発注方式
  • 分納発注方式

ここではそれぞれの詳しい説明は省略します。

在庫管理の手順

在庫管理は、どのような手順で行うのでしょうか。主な流れとポイントは以下のとおりです。

1. 在庫保管場所を決める:
在庫を保管する場所を決めます。それぞれの品目の保管位置がわかるように棚や通路に番地をつけるなどして、どこに何があるのか誰もが把握でき、必要なときにすぐに取り出せるようにしておくことが大切です。管理システムに在庫の保管場所を登録して確定します。

2. 適切な在庫量を確定する:
在庫補充時期や数量を決めるために、受注状況や過去のデータから需要動向を分析し、維持すべき適切な在庫量を決めます。在庫切れを起こさないような計画を立てることが重要です。

3. 在庫データを保持する:
在庫は、業務が継続する限り、基本的に日々数量が変わるものです。担当者が代わっても対応できる入出庫管理方法や、検品のフロー、在庫の動きがわかるデータを保持する仕組みを確立します。常にシステム上で現在の在庫量がわかるようにしておくことをルール化します。

4. 在庫管理を見直す:
取扱品目や数量の変化、生産プロセスの修正による原料の変更、仕掛品在庫の変化、市場動向による需要の変化などに対応します。在庫管理を定期的に見直して、継続して適切な量の在庫を確保できるようPDCAサイクルを実施します。

在庫管理の課題と対策

在庫管理における課題と、その対策について考えてみましょう。在庫管理では、管理すべき取扱品目の種類や数量が増えるに伴い、以下のような課題が発生しやすくなります。

在庫管理における課題

1. 入出庫時の数の記録・入力ミス
在庫管理は、受注した商品・製品・原料を受け入れたり出荷したりする際に、数量と内容を正確に記録することから始まります。こうした作業を、目視によるカウント、紙の管理表への書き込み、あるいは端末へ手入力で登録するといった方法で行っている場合、なんらかのミスが生じる可能性が常にあります。

2. 複数拠点の管理
例えばひとつの企業で商品や原材料を加工する工場や倉庫が複数箇所にある場合、ある拠点で在庫がなくなっても、他拠点の余剰で補充することで、無駄な発注や品切れを防ぐことができます。しかしそのためには、拠点間でのリアルタイム情報の共有が必要です。リアルタイム情報の共有ができていない場合は、各拠点に直接問い合わせをして在庫確認をしなければなりません。

3. 場所の管理
在庫の種類が増えるに伴い、品目ごとの保管場所が統一されなくなり管理が行き届かなくなる問題もあります。何がどこにあるのかわからない状態になり、出荷時に探し回るという無駄な労力も発生します。

4. 重要な商品の入庫や出荷が遅れてしまう
原材料のリードタイムや商品の需要ペースなどを考慮した、品目ごとの優先度が決められていない場合は、欠品、過剰在庫を引き起こす原因になります。重要な原材料の入荷が遅れて生産停止する、製品や商品の出荷が遅れ客先へ納期どおりに納品できないという事態が発生します。

課題への対策

これらの課題を解決する方法のひとつが、目視でのカウントや手入力に頼る在庫管理を、バーコードやRFIDを用いた在庫管理システムへ変更することです。在庫管理システムを活用すると、以下のことが可能になります。

  • バーコード、RFIDを読み取る方法により、入出庫時の数量や品目チェック時の人的ミスを回避
  • 取り込んでデジタル化したデータを、システム上で一元管理できる。またこの情報は、別部署同士、担当者間の情報共有に用いることが可能
  • 情報が瞬時に記録・保存されるため、各品目の所在場所と数量をリアルタイムに把握
  • 記録されたデータから在庫の動きを分析して、商品の売れ行きや需要を予測する。重要な商品の欠品を出さない発注、期限が過ぎた在庫の処理などを実現

在庫管理システムとは?仕組みやメリット、選び方について解説

在庫管理システムにより理想的な在庫管理を達成

企業が収益を上げていくためには、これからますます在庫管理がカギになってくると予測されます。企業が良質なサービスを提供し続けるためには、効率的で、適正な在庫量を保持することが重要です。これを実現させるためには、これまで人の手で行われていた非効率でミスが発生しがちな在庫管理を見直し、時代に合った在庫管理方法に変えていく必要があるでしょう。

TOPPANエッジでは、RFIDを活用したソリューションサービスを提供しています。在庫管理の効率化や人為的なミスを防ぐことはもちろん、収集したデータを生かし、需要変動を予測する、在庫量の保持を適正化するといった新しい在庫管理の実現を支援します。ご興味のある方はぜひ、ご相談ください。