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RFIDの導入事例や活用方法とは?導入の流れも紹介

近年、さまざまな業界でRFIDを導入する企業が増加していますが、「RFIDとは何のこと?」「バーコードやQRコードとの違いは何?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。本記事では、RFIDについて具体的にどのように活用するのか、業種別に導入事例をもとに紹介していきます。実際にどのようなステップにより導入されるのかについても解説します。

RFIDとは?

RFIDとは Radio Frequency Identificationの頭文字を取った用語で、ICチップとアンテナから構成されるRFIDタグ(またはICタグ、電子タグ、RFタグ)を専用の端末を使い、無線通信で読み書きする仕組みです。

バーコードのように一つ一つを個別にスキャンして読み取るのではなく、専用の端末を用いて、電波が届く範囲にあるものを一括して読み取れるという特徴を持っています。電波の届く距離が長いため、RFIDタグに読み取り用の端末を近づけなくても、まとめて離れた距離から読み取れるのです。
また20字程度のデータしか格納できないバーコードに比べると、はるかに多くの情報を記録でき、書き換えも可能です。

身近な例では、交通系ICカードや、高速道路の料金自動支払いに使われるICカード、離れたところから車の施錠や解錠ができるスマートキーなどに採用されています。

RFIDを使った在庫管理についてのより詳しい内容は、「在庫管理に活用できるRFIDとは?RFIDを使うメリットとデメリットも紹介」をご覧ください。

RFIDの業種別導入事例

では業種別に、RFIDの導入例と、具体的な活用方法を紹介していきます。

製造業

ものを作る製造業では、原料の入荷や製品の出荷において数量や内容を正確に管理する必要があるだけでなく、仕掛品の管理も必要です。読み取り端末となるRFIDリーダーを製造プロセスの要所要所に配置し、フォークリフトにパレットを載せて通過するタイミングや、ベルトコンベヤーで通過する際にRFIDタグの情報を読み取るといった使い方がされています。
製造業の原料や製品の保管現場では、積み重ねられていることが多く、識別するバーコードが読み取れないため、製品を倉庫から運びだして棚卸しを行うことなどがありました。しかし各製品にRFIDタグを貼付しておけばRFIDタグが見えない位置にあっても、箱を開けずに読み取りができるため、移動せずにその場で棚卸しができるようになりました。

医療

手術の際には必要な器具や薬品などをセットにし、どれひとつとして不足することがないように準備し、使用後には、その数の不一致がないかを調べる必要があります。何種類もの品目を一つ一つチェックして確認することは、人手不足の医療業界では難しく、人的ミスがないように細心の注意を払ったとしても、常に完璧に行うのは困難です。このように重要な確認作業にRFIDを利用すると、大きな恩恵を得られます。
例えば、手術前に用具や薬品をセットしたパッケージを一括で読み取れるため、手術中に器具が足りないということで中断したり、探し回ったりする必要がなくなります。また手術後に、使用した器具と未使用品をRFIDリーダーで読み取ることで、過不足がないかの突き合せが簡単にできます。
RFIDの活用で安全に対する懸念を減らせる例だといえます。

亀田総合病院様の事例を紹介:
https://rfid.toppan-edge.co.jp/example/detail09.html

物流・倉庫

倉庫業界では、文書メディアなど情報資産が大量に保存されていることが多いものです。機密文書や法律で保管期間を定められている文書といった場合は、保管される場所の把握も大切です。常に文書があるかどうか、保管場所の定期的なチェックが必要になります。文書は膨大な量になるため、天井に届くような場所まで積み上げて保管することもあります。このような場所で在庫チェックを行う場合は、高所作業車による作業の危険性も伴います。
こうした情報資材にRFIDタグを貼付して在庫管理することで、保管されている場所やそれぞれの保管期限の把握、また紛失の検出などが迅速にできるようになります。
今まで作業にかかっていた500時間を24分の1の21時間まで圧縮し、作業の安全性・正確性を高めたという事例もあります。

安田倉庫株式会社様の導入事例を紹介:
https://rfid.toppan-edge.co.jp/example/detail05.html

アパレル・小売り

一部のアパレル店舗では、RFIDタグがついた複数の商品をまとめてセルフレジのボックスに入れることにより、瞬時に精算するという技術を取り入れています。これにより会計時間を従来の3分の1まで短縮してレジの列を解消しました。加えて、商品についているRFIDタグは、精算がされると精算済みと情報が書き換えられるため、未払い製品を持ち出した場合は出口のゲートで検知するといったことも可能になります。
また各商品にRFIDタグをつけていれば、段ボールに入れた状態で在庫情報の読み取りができます。ただ、金属の反射があると、読み込みエラーが起こりやすいため、金属のラックに保管する場合は、注意が必要です。
アパレルだけでなく食品小売店舗では、RFIDのID情報に賞味期限を結びつけることで、賞味期限が近い商品が残らないように、価格を下げる、食品廃棄物を減らすといった実証実験も行われています。

RFID導入の流れ

さまざまな業界で活用できるRFIDですが、実際に新しくRFIDを導入する際には、何が必要で、どのような準備が必要になるのでしょうか。基本的な導入の流れは、以下のようになります。

1. まず、何を行いたいのか、在庫管理や資材管理など導入の目的を明確にします。例えば「製品や資産の棚卸しの効率化を図りたい」「入出荷管理の精度を高めたい」など、現状抱えている課題や解決したい問題点を特定し、目的を定めます。

2. RFIDの提供業者のプロと相談し、プロの視点で作業現場での現場検証と簡易評価を行ってもらいます。

3. 自社の業種や用途に合った、適切な素材・形状のRFIDタグと、周波数を決めていきます。

4. 読み取り端末および、読み取った情報を管理するシステムを決めていきます。端末は、社員が使いこなせるように操作性のよさを評価することが大切です。データを管理するシステムは、既存のパッケージソフトを利用することもできるのですが、必要な機能がない場合は、自社向けにカスタマイズできるのかといった細かい点を検討し、導入機種を決めます。

5. 実際にRFIDシステムを設定しテストを行います。

RFIDの活用で業務効率からサービス向上につなげる

RFIDはバーコード、QRコードなどと比べるとはるかに多くのデータを格納できます。さらに電波が届く範囲でタグ情報を一気に読み取れるため、さまざまな業種で製品・商品の管理効率を上げたり、登録データの精度向上をしたりと、業務効率の向上にも期待できます。さらに紛失が許されない器具、機密書類の管理など顧客が取り扱うサービスの質向上にもつながるでしょう。
導入にはコストがかかりますが、技術の進化とともに、RFIDタグ自体の単価が下がりつつあります。RFID技術発展の将来的な可能性も視野に入れ、煩雑な業務の効率化だけでなく、長いスパンでの成長を考えるなら、トッパンフォームズのIoTソリューションをご検討ください。

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。